世界というものはすばらしい。それは無限の宝を宿している。人はまだよくこの無限の宝を見つけることが出来ない。無限の宝というものは、何よりも、お前自身の中にある。汝自身の中にある、世界の無限の宝を開拓せよ。 - 梅原猛『空海の思想について』

五月二十日

Photo H君、オートバイ乗つてるかい?出張続きで乗る暇無いかな。己は亞米利加の職場に復帰して一年経つた。亞米利加のオートバイ免許も無事取得したんで一周年記念に調子に乗つてハーレーを買つたよ。 他の州でも同じだと思ふけど、Wisconsin 州ではオートバイ免許に排気量制限は無いので免許を取ればハーレーにも乗れる。先週納車されたので今週は釣りにも行かず乗りこなせるやうに練習中。 「何でオレンジやねん」、と思ふだらう。黒が悪さうで格好良いんだけれども皆黒いハーレー乗つてるから己は限定色のオレンジにした。己は捻くれ者なんだよ。 ディーラーに展示されてゐた同じ車種は紫に炎のペイントが施された限定品。こんなの餓鬼みたいで嫌だ。「これは嫌だ。黒も嫌。己はオレンジが宜い、オレンジじやなきや嫌」とディーラーで駄々をこねたら、セントルイスで見つけてくれて取りに行つてくれた。 「何が悲しくて排気量1,584ccもあんねん」、と思ふだらう。己もさう思ふ。でもきつとこれがハーレーなんだよ。「己に乗れるかな~」、「シートに座つて地面に足付いてるから大丈夫じやない」。ディーラーの適当なアドバイス。 「車重300キロ?小錦の体重の倍もあるやんけ。何いちびつとんねん!」、と思ふだらう。本当に重い。転けたら洒落にならん。足折れるぜ。然し、車高が低いから結構乗れるもんだよ。 会社に乗つて行つたら、流石に驚かれた。「何で日本人のおつさんがハーレーやねん!」、「ワレ、何時の間にヘルス・エンジェルスに入つたんや」、「何で日本製にしないでハーレーにしたん?」。愚問である。ハーレーはWisconsin州Milwaukeeで生まれて今も本社はMilwaukeeにある。 夏になるとMadisonでもハーレー乗りがわんさと出てくる。アパートの隣の部屋の年配の亞米利加人もハーレーをガレージに隠してゐた。「中々良いハーレーではないか」、「へへへ、先週納車されたばかりなんすよ」、「左様か、わしもハーレー所有しておるぞ」。 ガレージを除くとロード・キング。でけえ!「御見逸れしやした」。今更、バリバリ伝説でもなく、湘南暴走族でもない。暫くは通勤用。昨日、釣りによく行く小さな田舎町Black Earthまで練習がてら走つてきた。この町は結構ハーレー乗りが多い。 亞米利加のハーレー乗りには独特の挨拶がある。対向車線のライダーに左手でVサイン(ピースサイン)を送るのだが、左手を上げてピースとかやらない。左手を斜め下45度くらいに下げてVサインを送るのだ。かつちよいい~!これがHarley Waveと云ふやつか。 でもスピード出ている時は直ぐに左腕を引つ込めないと風圧で左腕持つていかれるので注意が必要だ。Shoe Boxという靴屋の駐車場にハーレーを駐めて一服していると、大学生くらいの娘が己のハーレーを観て「Harley-Davidson!」と素晴らしく流暢な米語で叫んだ。 畜生!楽しい!釣りしかやる事のない糞面白くもないWisconsin州に戻つて良かつたかも。

追伸
K先生にオートバイの側車からRPG発射出来るやう訓練しておくやうに伝えてくれ賜へ。攻撃目標は分かつてゐる筈だ。 QED


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