呑歩記其ノ陸拾參、上野

戦後三十八年、夏がくるたびに戦争が論じられ"特攻"が論じられます。が、わたしがこの目でみた隊員達は、国家や天皇といったそんな遠い存在よりも、もっと身近かな、 肉親や愛する人びとや、うつくしい故郷、そんな"祖国"を救うために、自分が死ぬことによって頽勢を挽回しよう、敗滅を遅らせようという思いで出撃して征ったのです。 そんな純粋無垢な、使命感を抱いた自己犠牲の死が進歩的と称する識者や一部のキリスト教徒たちから、なぜ"犬死"と罵られなければならないのか。かれらの天に還った魂を愛惜し追悼することが、 どうして"軍国主義"につながるのか。そんな新聞記事やテレビをみるたびに、躰がふるえる思いがします。一つの時代を性急に現代の価値観で裁くということには大きな誤りがあります。 その是非は、長い歴史の歳月のあとで、はじめて理解されるものとはちがいますか。 - 神坂次郎『今日われ生きてあり』

「戦争、誰も好きません。ばってん、せにゃならん時がありゃ、致しかたありませんたい」

亜米利加へ単身特別攻撃を行う隊員の壮行会兼熱海への走行会打ち合わせ。 「西海岸はTシヤツでだいぜうぶでせうか」、「長袖一枚持つていけ」。 何故か戦争映画の話題で盛り上がる。「特攻隊つて凄いですよね。明日死んで来ひつて言われて本当に体当りして死んじやうんだから」、 「部下に特攻命令だしておいて自分は逃げるとんでもねえ上官も居たらしいよ。上官が本当に死ぬ気で命令してるんだつたら、俺もついて行くけどね」。 「こないだ特攻隊の映画観て涙出ましたよ」、「へえ~、お前にも血も涙もあつたんだねえ」。 「三島由紀夫つて知つてる?市谷駐屯所で自衛隊員に決起を訴えて腹切つて死んだよ」、 「浅間山荘に立て篭もつた奴ですか?」、「それは連合赤軍だ。あれは屑だ」。 「やつぱ武士道だ。武士は死を恐れない」、「しかし何で武士は切腹するんですかね」、「よく分からん。勉強しておくよ」。 企業戦士には、日教組やゆとり教育に脳味噌を豆腐にされた阿呆はいない。日本はまだ大丈夫だ。神州はまだ大丈夫だ。皇國はまだ大丈夫だ。 今宵も醉つて候。QED

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