各々方、魚釣の極意を知つておられるか。魚が鉤に掛かるまで息を潜めて待つ。掛かつたら引き上げる。簡単だ。
だがそれが出来ない。我慢出来ずに引き上げ、餌に喰らひつこうとしておる魚を見す見す逃してしまうんだ。
- 映画『十三人の刺客』
N君、今日鱒釣が解禁になつたよ。昨日は雪で今日も雪のちらつく中、家から一番近い川に早速釣りへ。最初に掛かつた鱒は外(ばら)す。二匹目も外し。
日本では二回しか鱒釣に行かなかつたから大分腕が落ちたやうだ。気温は零下一度。偶に陽も射したりして極寒ではないけれど風が強くてキャストに苦労する。
一時間全く釣れず。毎年解禁日は釣果あるんだけど今日は駄目かな。然し、己が Fly Fishing やつてる事は会社の同僚全員知つてゐるから月曜日に
「解禁日、雪のちらつく糞寒い中、釣りに行けどもボーズであつた。どうぞ笑つて下され」などと言いたくもない。場所を変えてやつと今年の初鱒。
小さくても鱒は鱒。此方では Brown Trout と云ふ鱒が良く釣れる。結局、三時間で鱒二匹。釣れてよかつたね。
時に『十三人の刺客』と云う映画は観たかい。己は此方で BlueRay で観た。映画観て久し振りに感動したよ。
主人公の島田新左衛門が釣りをするところも気に入つた。武士も釣りをするんだよ。
「来たぞ！ 来たぞ！ 参りましたぞ! 明石が動き出しました!」
「さうか」
「大平街道を走つております ... 但し、七十数名では御座らぬ」
「何？」
「遥に多い。二百は越えておりませう」
「二百？」
「鬼頭半兵衛、時を費やし各地より手勢を呼び寄せておつたか」
「十二人に二百は到底...」
「何、鉤に掛かつた魚は大きければ大きい方が宜いわ...天命在つて集ひし吾ら十三人、命を捨て大事を成す時が来た。各々方、覚悟は宜しいな！」
「おお！」
己も思わず一緒に叫んだよ、「おお！」。民主党つて何人いるんだ？
